宇宙スケールで紡ぎ出された宮沢賢治の物語の光は、
現代に生きる私たちの心にも届き魂を揺さぶる。
SOETEは、作り手と一緒に宮沢賢治の物語に触れ、
物語に込めた宮沢賢治の思いをくみとり、
その思いをSOETEの作品に添えてお届けします。

 
宮沢賢治作品との出会い
テーブルウエアフェスティバル2017出展のための商品企画に際し、以前から考えていたこと、つまりSOETEのコンセプト(本HPのメッセージ参照)の基になる考えに沿って商品の企画製作を試みました。その時に宮沢賢治の作品に触れ、一つの作品から、読む人によっていろいろなメッセージを発する不思議な奥深さのようなものを感じ、絵柄のテーマに取り上げさせていただきました。
今回は手塩皿に絞って製作しましたが、先ず蒔絵師に今回のものづくりの考え方を説明し、宮沢賢治の作品を改めて読んでもらい、また私が自分なりに作品から読み解いたメッセージも併せて読んでもらい、お互い作品の内容と図案の構想について意見交換して完成させました。今回のものづくりの方法について蒔絵師は少し戸惑っていたようでした。私自身もかなりハードルが高いことをやろうしていると感じていましたが、ここを乗り越えなければ自信を持ってお客様へご提案できるものはできないとの思いで蒔絵師と製作を進めました。
 
新たな出会い
テーブルウエアフェスティバル2017出展に向けて製作を進めている間に、東京で宮沢賢治に関する講演会が開催されることを知り、その講演を拝聴することができました。講師は宮澤和樹さんという方で、宮沢賢治の実弟でいらっしゃる宮澤清六氏のお孫さんにあたり、花巻市で林風舎という宮沢賢治のお店を経営されていらっしゃいます。講演で宮澤和樹さんは宮澤賢治の興味深いエピソードをスライドを交えてお話されていましたが、宮澤和樹さんが宮沢賢治のことを「賢治さん」とおっしゃっていたことが特に印象的でした。ご親戚になるので当然と言えば当然なのですが、「賢治さん」という言葉を聞いてからは、私自身も「賢治さん」と呼んだ方が、何かしっくりくると言うか、逆に尊敬の念を込めることができるように思われてきたのは不思議です。さて、その後、花巻市の林風舎に宮沢和樹さんを訪ねる機会をいただき、宮沢賢治作品をテーマにした手塩皿をご披露させていただくことが出来ました。また、その際にSOETEのものづくりの考え方についてもお話させていただきましたが、蒔絵師が描いた手塩皿を手に取られた宮沢和樹さんが、優しく撫でるよう持っていただいたことが印象的でした。職人の手仕事の暖かさを感じ取っていらっしゃったのだと思います。今回の宮沢賢治作品と宮沢和樹さんの出会いで感じたことをSOETEのものづくりに生かしていけるように、作り手と思いを共有していきたいという気持ちを強く致しました。
 
SOETEの思い
宮沢賢治の作品はどれも、色や音など五感に響く豊かな表現が散りばめられており、読みながら同時に情景が自然と頭に浮かんできます。ですから、作品を絵で表現することは無謀なことと言えるかもしれません。しかしSOETEは、無理を承知であえてそこに挑戦したいと考えています。宮沢賢治が作品に込めた思いをSOETEの作品を通して、SOETEの作品を手に取って下さる方々に伝え、作り手、SOETEそしてお客様がお互いに共感し合うことができたら、ともに心豊かになることができるのではなかと考えるからです。
宮沢賢治の作品は、多くの現代人を心豊かにする光を今も放っています。